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イジス写真展 パリに見た夢

ロベール・ドアノー、エリオット・アーウィット、ブラッサイ・・など、モノクロのパリの写真は今までも何人かの写真家の作品を見てきました。恋人たちのパリ、おしゃれなパリ、ユーモアを感じるパリ。そういう写真とどこか一線を画すイジスの作品。

イジスの写真は、『写真家が写真を撮るということ、それは自分と向き合うことなんだな』ということを強く感じた作品でありました。
そこに視点を向けるなら、イジスは自分を正直に捉え真正面から向きあう写真家なのではないかしら。そこにイジスの強さと、そこから生まれる優しさを感じました。

イジス

そこに写ったパリは、1950年前後の終戦の影がとても色濃い。セーヌのほとりで疲れたように眠る人々、雨の中鉢植えを売る親子、ほつれたジャケットを着ている少年、裏庭の猫。
一般的にイメージする華やかなパリではありませんでした。
パリ以外の写真でも、廃墟やサーカスの人々、イジス自身のルーツである1950年代のイスラエルなど、イジスが目を向けずにはいられなかった深い理由がどれも根っこにあるのがわかりました。でありながら表現されたものは見る者の胸に迫る普遍性を持っています。

アンドレ・ブルトンやローラン・プティ、ドラマールなどのパリの一時代を築いた文化人達のポートレイトもたくさんありました。シャガールがオペラ座の天井画を手がける一連をレポートした写真もありました。
イジスの前では見透かされることがわかって、取り繕うのをやめ、正直になることを楽しむかのような有名人たち。

写真の持つ芸術性を味わい、どっぷり浸った展覧会でした。

イジス写真展 ーパリに見た夢ー

イジス Wikipedia

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